1, 瓦礫の中のバンドワゴン(words & music : 三沢洋紀) |
LETTER:
三沢洋紀 Vocal, Guitar, Casiotone(8,10),
NANA LALA FAFAFA Guitar, Chorus, Piano(3),
カオリ Bass, Chorus,
砂十島NANI Drums
GUEST :pippi ( from She's pippi ) words( 5,7,8 )
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録音:原浩一 (Redragonfly)/ フリーピープル (大阪)、Redragonfly(大阪) 2008,1/6〜9、2/12〜13
録音アシスタント:深見北斗(Redragonfly)
ミックス・ダウン:中村宗一郎 / ピース・ミュージック 2008,3/17,18,24,25,4/8
マスタリング: 中村宗一郎 / ピース・ミュージック 2008,5/8
デザイン:高橋雅之/タカハシデザイン室
写真:糸川燿史
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[レターと私(金野篤)]
■故郷大分に帰り活動を休止していた三沢洋紀から新しいバンドの構想を聞いたのは2007年春、同じラブクライのギター・NANA(三沢のボーカルには彼のギターが良く似合う)、(京都のヘヴィ・サイケ・トランス・ポップ・バンド)ドリルマンのベース・カオリに、元ZUINOSINで現在はその発展形BOGULTA(さらにAMAZON SALIVAや野獣)で唯一無二のワイルドなドラムを叩く砂十島N ANIの4人で始めるという。
初めてのライブ(難波ベアーズ)の前日5月2日、千日前でホルモンを食いながら初リハ後のメンバー3人に会い、まだバンド名は無くもちろん音も聞いてなかったが、その場でリリースを決めた。「ジャケットはラモーンズの1stみたいな写真で」、「バンド名は明日のライブで決めるけど‘レター’が候補」、「小文字表記ならオレは降りる」、「もちろん大文字で‘LETTER’」、それが理由です。その感覚とスピードにおいてすでにしてロックだったからです。
● 07年5月3日「三沢洋紀グループ」(=LETTER初ライブ)難波ベアーズ、共演:PLATON(山本精一)、森田正章トリオ
● 07年6月17日「三沢洋紀」(初ソロ・ライブ)大分ATHALL
* 07年8月 1stソロCD(R)『三沢洋紀』自主発売
● 07年9月28日「LETTER」(ライブ) 京都ウーララ、共演:Music Start Against Young Assault
● 07年9月30日、10月1日「LETTER」(東京初ライブ) 高円寺円盤、共演:花のように、前野健太
● 08年1月5日「LETTER」(ライブ) 難波ベアーズ、共演:Acid Mothers with ピカチュウ、手ノ内嫁蔵
■ 08年1月6〜9日「LETTER」(録音) フリーピープル・スタジオ、Redragonfly Studio (エンジニア:原浩一)
* 08年1月21日 1stソロCD『三沢洋紀+5』全国発売(happy songs)
■ 08年2月12日「LETTER」(ジャケット撮影) 写真:糸川燿史
■ 08年2月12、13日「LETTER」(録音) フリーピープル・スタジオ(エンジニア:原浩一)
■ 08年3月17、18、24、25日、4月8日「LETTER」(ミックスダウン) ピースミュージック・スタジオ(エンジニア:中村宗一郎)
● 08年5月1日「LETTER」(ライブ) 渋谷O-Nest 共演:テニスコーツ、ふちがみとふなと(円盤ジャンボリー・スペシャル)
■ 08年5月8日「LETTER」(マスタリング) ピースミュージック・スタジオ(エンジニア:中村宗一郎)
■2008年正月明けほとんど録って届けられたその饒舌な流れの音は、ささやかな狂気と鮮烈な色彩をみなぎらせて正面からオレにぶつかってきた。きわめてポップ!
三沢節でしかない艶かしいギターとメロディ、トノバン第一継承者たる危ういボーカルが心の中に奥に触れてくる。ジョージ・ハリソンばりの容姿に変わったNANA、だからラブクライ時にはなかった多くの引き出しから実に渋いフレーズを連発し、女性らしい穏やかながらも独特のドライヴ感が見事にハマるカオリの骨太ベースが自ら歌い、もちろん三沢の歌を立たせる。そして何よりあの激烈変拍子ドラマーNANIが‘普通の’ロックを叩く!しかし歌を引き出すためのアイデア満載、シンプルでタイトだが多彩で洗練されたリズムが開花したのだ。
鋼のムチような鋭さとしなやかさでもって、一見普通に見える全く普通じゃないフレーズをたたきつけてくるLETTERの4人は、その感性とスピードで、新しいロックのフォーマットを創造していくのだろう。
[レコーディング:原浩一/フリーピープル]
ラブクライの最初からのつきあいとなる大阪フリーピープル・スタジオで、(ボアダムス、想い出波止場、ANATAKIKOU、などなど、もちろんラブクライの名盤『COSMOS DEAD』や稀代の名曲「夢をみるなら」を収めた 『平凡』を録った)名エンジニア・原浩一のもと、1月と2月延べ6日間に渡って録音され、スタジオ録音とは思えないライブ感に溢れたものとなりました。
[ミックス・ダウン〜マスタリング:中村宗一郎/ピースミュージック]
バンブルビー・レコードの前回作『ミワサチコ/Beautiful Place』の仕上がり=ライブ一発録りデータをMTR機材ごと中村氏に預けそれを第4のメンバーの如く作り上げたそのサイケな音像に驚いた三沢が、ミックスダウン以降を全て氏に任せた結果、メンバー全員もう一度びっくり!とくに三沢が言うように『はっぴいえんど/風街ろまん』のあの感じ=不気味なポップ加減、(ゆらゆら帝国最新作で見せた)ツルんとした錆びることないポップ感触、噛めば噛むほどスルメ味、古い良いロックを聴いてるあの大好きな感じ、ゆるぎない永遠の名盤的スタンダード感覚の音が出来上がりました。さらにマスタリングでは、ヌケ良い仕上がりとなっています。また所々いやんなるくらい細かい仕掛けを施していますので注意深く聴いてください。
[写真:糸川燿史]
1934年生れ、写真家・映像作家。日本のロバート・フランク!「写真は記録に非ず。ライブ!」と言い音楽のように写真を撮る。人間と向き合い、大阪の人と街を撮り続け半世紀以上。写真集『グッバイ・ザ・ディランU』など。事前に聴いていただいたLETTERの音源を気に入り、肥後橋〜江戸堀あたりで300枚撮ってもらいました。スライドにするとまるでロードムービーのようでした。